スクアーロが結婚することになった
まあ、俺達も暗殺部隊なんてものに所属してるから婚姻届けなんてもの役場に持って行かないし行けないんだけど
相手の女が王族の血を引いてるらしいが両親がやけに物分かりよく結婚を認めたというから驚きだ。だけどスラムで生まれて暗殺やってるスクアーロなんかを婿に迎えるなんてその女、よっぽど貰い手がなかったな…どんな奴なんだろう。頭おかしいのか、余程のブスか…うししし!今日は幹部だけで結婚パーティやるんだよねっ…王子ちょー楽しみ!
「あっ、ありがとぅ…」
か細すぎて聞き取れないくらいの声で礼を述べるの頭を一度、撫でる。そうしたらはこちらに一歩、進み出て抱き着いてきやがった。悪い気はしない
「…ほ、ほんとに、本当にありがとっ…」
「気にすんな。俺がやりたくてやってんだ」
頭を再度撫でると強張っていた表情が緩んだ。ウェディングドレスなんて物を着て結婚だなんて…自分の大切にしてきたが他の男の、しかもカスの手に…
「ザンザス…」
きゅっと白い手が服をきつく握るので意識が記憶の中で笑うからいまいるに戻る
「わっ、私…緊張しちゃっ…」
「知ってる」
背中を一定のリズムで叩いてやるとまどろみ始めたので今度はリズムを遅くする。本当にこんなんで妻なんかやれんのかよコイツ。緊張しすぎてるのはわかるがまどろむな、どこの子供だよ…
「う゛ぉおい」
自分が暗部なんか入ってるせいでは結婚を正式に出来ない。それを思うと不敏で仕方ない気分になってくる。申し訳ない、そんな自分を心から慕ってくれている人に有り難ささえ覚えている。これから思いっきりを愛してやろう、誰がなんと言おうがの夫は俺なのだから
「…」
控室の扉を開けると真っ白なドレスに身を包んだがいた。こちらを黙ってみてくる肌が病的なまでに白く、それがいっそ儚すぎて壊れそうなのに馬鹿みたいに綺麗だと思った。流れるような金髪は何処までも穢れを知らない。絵画の枠では納まらない美しさに息を飲む。俺はコイツを幸せにしなきゃならねぇ、再度思った
「あ、スクアーロ…あの、さっきまでザンザスがいてくれて…」
「いまは他の男の名前、口にすんな」
抱きしめると剥き出しになった肌がトクンと脈を、温かみを持っているような気さえした。抱きしめられている間、いつもならガチガチに硬くなって狼狽する女が随分と静かに瞼を閉じてされるがままになっている。自分の着ている黒い背広がの白さを侵食していくのだろうと感じた。嗚呼、それが逆に喜ばしいことに感じてしまった
「ボスずっと不機嫌ー」
立食会なのに専用椅子を用意されたボスはいまにもテーブルを蹴り飛ばしそうだった。眉間の皺が大変なことになっている、正直言って怖い
「…なんでよりによってカスなんだよ…」
親族同士は愛も誓えない
(彼女の沈黙が幸からなのかは甚だ謎である)