「、今日の予定は」
朝食の席でカプチーノとクロサッサンを目の前にしてあの時よりも大分、身長も声も何からなにまで大人びた少年は私に問うた
「今日の予定はいつも通りの執務をされた後に、昼食を他ファミリーボスと親睦を深めるためにしてもらい、その後でボンゴレの定例会議に出席、Sランク暗殺を二件行ってもらって終了です」
黒の手帳で今日の日付の部分を読みあげる。この手帳は少年から贈られた物だ
少年はあの日、わたしを拾った日から側にいさせる。側近のようなものだろうか。名前をザンザスと言ってボンゴレボスの実子と聞いた時には随分な奴に拾われてしまったと少し思った
「親睦会は嫌だ、堅苦しいし息が詰まる」
それにジジイ共のジョークもつまらない
文句を零す彼は一口わたしが煎れたカプチーノを呑んでこちらに手を出す。きっかり五歩で彼の元へと行き、勿論手には御所望の品物を忘れない
「食べながら読んじゃ駄目ですよ」
はい、と新聞を渡して五歩下がった。こちらを窺うようにチラリと見てから残ったクロワッサンを口へと放り込んで噛んでいる。いつ頃だかに新聞を読み出して、それを見て良いこととは思ったが食事の席で読もうとするのには好感を抱けない
十分程たってから腕時計を見るともう身支度を済ませてもらわなければならない事に気付かされる。名前を呼んで時間だということを告げた
側に置いておいたザンザスのスーツを手にしてやはり五歩でそのもとへ。音をたてないで椅子から立ってわたしが差し出すスーツを肩にかけた
向き合う形となっていて、あの時よりも随分と成長したなと顔を見つめたらザンザスはわたしに軽いキスをしてきたので驚いてそのまま呆然と立ち尽くした
「お前は俺のモノなんだからなにしたっていいだろ?」
悪戯っぽく口を歪める男は少し少年の面影を残していた。このままではなんとなく悔しいのでザンザスの口元にわたしも軽くキスをした
「クロワッサンの食べカスがついていました」
ザンザスはわたしの腰を引き寄せて綺麗な弧を描いて笑う。ああ、折角昨日きれいにしたスーツなのにしわが出来るな、とのんびりと思った
「、予定変更だ。まだ出発しない」
Con quanto ritardo partiremo?
(どれくらい遅れて出発しますか?)